GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
もし会えたら、昨日よりも上手く笑って見せたい。

律……あの洋食屋さんの近くに住んでいるんだろうか。

それともあの時は、ただの通りすがりだったの?

律を思えば思うほど、少しくらい質問すればよかったと後悔する。

そんな事を考えている内に、歩く速度がどんどん上がる。

バスに乗り込んだときにはジットリと汗をかいていて、私は何だか恥ずかしかった。

こんな風に強く、誰かに会いたいとか顔が見たいとか思ったことがなかったし、自分の中にそんな感情があるなんて思いもしなかった。

律……律。

バスを降りてすぐの横断歩道から向こう側に小さく見える洋食屋さんを凝視する。
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