GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
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二時間後。

「なんか私、役に立たなかったね」

私がそう言うと、手早くキッチンを片付けながら雪野一臣が返事をかえした。

「瀬里に比べればマシだ」

確かに瀬里は料理とか苦手そう。

「雪野さんは、料理が趣味なの?」

「ああ」

格闘技の方が似合ってる感じなのに、意外。

でも……。

お刺身も塩焼きも、お吸い物も鯛めしも、凄く美味しかった。

「……凄く美味しかった。ありがとう。私、こんな風に誰かと食事を作った経験なくて……楽しかった。瀬里と雪野さんもきっと喜ぶだろうな」

最後は何だか独り言みたいに小さな声になってしまったけど、雪野一臣は私を見つめて少し頷いた。
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