GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
****

結局瀬里と雪野翔は帰ってこなかったから、私は雪野一臣にお礼を言って立ち上がった。

「送る。車がいいか?それとも歩く方がいいのか?」

「いいよ。独りで大丈夫」

「もう暗い。一人歩きはダメだ」

「………」

****

「寒くないか?」

結局私は雪野一臣に家まで送ってもらうことになり、彼とふたりで住宅街を歩いた。

車で送ってもらうなんて申し訳ないと思ったけど、寒い中を徒歩で送ってもらう方が逆に迷惑だったかも知れない。

「私は大丈夫。でも雪野さんは大丈夫?なんか、ごめんね」

雪野一臣は私の隣を歩きながら、前を向いたまま答えた。
< 81 / 293 >

この作品をシェア

pagetop