GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
「え?」

意味がわからずに律を見ると、彼の瞳が徐々に赤く光り出した。

「律……?」

私は律を見つめ続けたけれど、律は私を見ていない。

「律、どうしたの?」

その時律の視線の先に雪野一臣を見つけて、私はハッとした。

「あ、律。こちらは雪野一臣さん。友達の彼の従兄さんなの」

私を見ずに律が呟いた。

「へえ……でも藍……もう心配させないで」

「……律……」

律がニコリともしないから、私はどうしたらいいか分からず、彼を見つめるしかなかった。

すると、律がようやく私を見下ろした。

「帰ろ、藍」

「……うん」

「あ、ここで待ってて。彼にお礼を言ってくるから」

言うなり律が私から身体を離し、ゆっくりと雪野一臣の方へと歩き出した。
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