GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~
約十メートル向こうで、雪野一臣と律が向き合って何か会話をしている。

二言、三言何か話した後、律がクルリと踵を返した。

律……!

こちらに近づく律の顔を見て、私は思わず息を飲んだ。

だって、凍りつきそうな程冷たい顔をしていたから。

怒ってるの?律。私に?嫌だ、そんなの嫌だ。

「律、ごめん」

気がつくと私は律に駆け寄って謝っていて、おまけに身体が震えていた。

律にだけは怒られたり嫌われたくない。

だって律は私の大切な人だもの。

唯一、私の孤独を理解してくれてそこからすくい上げてくれた人だし、私は律が好きだ。

律が足を止めて私の瞳を見つめた。
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