Sweet Hell
”君のことを考えていて忙しいんだ”

開いた口が塞がらず、持っていたピーナッツを数個テーブルの上に落としてしまった。

「は、ははは・・・」

どうしていいか分からず笑っているとまた彼からメッセージが届いた。

”君に会いたい。そしたら君のその甘い唇にキスが出来るのに”

私は反応をせずにただピーナッツを頬張った。

だけど冷静さとは裏腹に心臓だけは早鐘を打つようにドクドクと鼓動をしていた。

頬が熱くなってきているのはきっとビールだけのせいではない。

「まさか、こんな若い子にここまで熱愛アプローチされるなんて。
日本にいて一度もなかったよ、こんなこと」

これは戸惑いだった。
アメリカにいてしかも17歳の学生。普通に考えれば恋愛対象外。
だけど拒絶する気にもならなかった。

私は彼のポートフォリオに並ぶ彼の写真を眺めた。
クールな顔した彼の写真を見て、彼がこの顔でこんな情熱的なことを言うなんて
全く想像が出来なかった。

ビールをゴクリと飲んだ。彼のメッセージを読んで、
君のその甘い唇にキスが出来るのにという英文を見て
私の身体の奥がキュンと少し疼いた。

「どうしよう。どうしたら良いんだろう、このまま私・・・」

どうしていいか分からなかったがここは
日本人らしく本音と建前を使い分けようと思い、
彼にメッセージを送った。

”そうだね。私もあなたに会いたいよ”
< 14 / 86 >

この作品をシェア

pagetop