Sweet Hell
お昼休憩になった。ビルの地下にあるレストランでみほと食事をしてると
話題はあの新しい営業担当者の話となった。

「めっちゃ格好良かったねー、彼!爽やかでさー真面目そうで」

みほが目を輝かせて言う中、私はさほど興味がないという感じで
ハンバーグを頬張りながら「そうね」と応えた。

「なんか、楓と彼お似合いじゃない?」とみほが突拍子もないことを言うもんだから
私は水を飲もうとして思わずむせた。

「ちょっ!ちょっと!根拠もなしにいきなり何を言ってるのよ!?」

「えーなんか、クールビューティーと爽やかイケメンってお似合いじゃない?」

「何言ってるのよ。それにああいう人は若い子が好きだって」

「そうかな?」

「そうよ。彼のお隣のキャピキャピした秋葉さんとかとお似合い」

そう言うと私はハンバーグをまた頬張り始めた。

「あの子と付き合ったらあれだね、ただの面食いだよ」とみほが言うと
彼女もハンバーグを頬張り始めた。

少なからず私は、みほに言われたことに不快を感じなかった。
確かに本郷さんは格好良くて爽やかで多少私の好みにも近いところがあったから
万が一彼からアプローチされたらデートくらいはしたいなぁと思った。

でも、さすがにそんな妄想しても虚しいだけ。
彼から来なければ私から行くこともないし、第一ただの仕事の関係なんだから
そんなことはあり得ないと思った。

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