Sweet Hell
ちょうど彼が私に背を向けた状態で頭を洗っていた。
どうやらシャワーの音で私が入ったことに気づかないようだった。

私はちょっと安心してホッと息をついた。
けどそれも数秒間でのことだった。
この後、私に気づいたら彼はまた私に抱きついてキスをしてくる。
いや、今はお互い裸だからそれ以上滅茶苦茶なことしてきそう。
もう、想像するだけでおっかなくて、でもドキドキして
心臓の鼓動がどんどん加速していった。

あぁ、どうにかなりそう。
胸を押さえながら彼に一歩一歩近づいた。
逞しい広い背中、キュッと鍛え上げられた尻、
筋肉質な太い太もも。
スポーツでもやってるのかなぁとふと思った。

そう、ボーっと彼の後ろ姿を見ていると急にシャワーを止め、
彼が髪をかき上げる仕草をした。

や、やばい。逃げようかな。
そう思って私が向きを変えようとした瞬間、
彼が私の存在に気付き、”メープル!”と声をかけてきた。

私は恐る恐る彼の方を向くと”や、やぁ”となぜか
挨拶をした。

”何が「やぁ」だよ。こっち来て”と言うと
私の腕を引っ張り、強引にシャワーの前まで私を連れてきた。
彼は私の身体をマジマジ見ると”綺麗だ。まるで女神のようだよ”と褒めた。

め、女神?
自分の裸に自信無かったし、そんな褒め言葉を言われたのも初めてで
正直嬉しかったけど今の私は恥ずかしさの方が増していた。

”そんな・・・見ないでよ・・・”
”なんで綺麗なのに?”と言って彼は私の頬にキスをした。

彼は上で固定していたシャワーを外すとお湯を出し、
丁寧に私の身体を洗い始めた。

あ、あれ?襲ってくるかと思ったけど何もしてこない。
意外と冷静だ。
ちょっと拍子抜けした私は思わず黙ったまま
彼のすることをそのまま受け入れていた。

ジャスティンはシャワーを止めると今度はスポンジを取り出し、ボディシャンプーを付け
それを使って私の身体を丁寧に洗い始めた。

あれ、あれれ?
もっといやらしいことしてくるかと思ったのに
本当に何もしてこない。
もしかして私の身体に興味ないのかな?

そう思って安心したようながっかりしたのもつかの間、
彼は私の手を取るとその泡の付いたスポンジを
私に渡してきた。

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