Sweet Hell
歌が上手い!いや、それだけじゃない。

彼の少し枯れた低音の声が甘く切ない歌詞を彩る。

彼の表情、歌声が切なくて色っぽくて。

私の方を向くと彼は
何もない自分は君のためにならなんでもするよ、という
孤独でどこか虚しさが残る切ない歌詞を
私に聞かせるように歌い続けた。

”君が僕を愛してくれるなら
飢え死にしたっていい、ホームレスになったっていい。
無一文になったっていい。君が僕を愛してくれるなら。

僕は君のプラチナになる、
君のシルバーに、君のゴールドになるよ。
君が僕を愛してくれるなら
君が僕を愛してくれるなら”

なんで、こんな若い彼が
もう世の中の無情さを知ったような悲しさで
歌うことが出来るんだろう。

すると終盤でラップが出てきた。
彼は難しい英語のラップを早口で難なく
言いこなす。

「わぁ、すごい・・・!」

そう思ったその時。
最後のラップ”As long as you love me!!”を言い終えた瞬間、
彼はマイクを放り投げ、私に飛び付いてキスをしてきた。

”ん・・・ジャスティン、歌・・・まだ終わってな・・・”
’NO・・・”とキスを繰り返しながら彼は言った。

そのままお互い激しいキスを繰り返すと
ジャスティンがベッドの上に私を押し倒した。

彼が私を見下ろして、じっと見つめる。
その見つめてくる彼の目に私は耐えられなくて顔を背けた。
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