Sweet Hell
”メープル、僕を見て”
”NO・・・”
”どうして?”
”恥ずかしい・・・”
”恥ずかしがらずに!”
”NO、あなたがハンサムだから見れない・・・”
”僕は君の美しい顔を見たいんだ。
お願いだから、こっちを向いて”

私は、ひと呼吸するとゆっくり彼の方を向いた。
”よし、それで良い”
彼が少し屈んで私を至近距離から見つめてきた。

彼のサラサラな金髪の前髪が彼の眉毛の辺りにかかった。
濡れていたはずの彼の髪はすっかり乾き、LEDの明かりに反射して黄金色に光った。
高い鼻筋、彫りの深い目、綺麗な青い眼が私を捉える。
まるでガラス玉のように美しい。

”Maple, I'm hungry. I wanna eat you again.”

人形のような金髪碧眼の美少年。
彼らの美しさに昔は憧れていた。
いつからだろう、あまり興味が無くなったのは。
言語の違い、文化の違い?
私はいつしか日本の中でしか世界を見なくなった。

だけど今目の前に別の世界が見える。
恵まれた人種、どうやっても彼らを越えられない気がする。

”maple?”

彼は日本人の私を美しいと言ってくれるけど
アメリカの方がもっと美しい人がいっぱいいると思う。
だから、彼の妹の方が私よりも綺麗だと思ったのは本心だった。

”どうしたの、黙り込んで?
もう一度セックスがしたいんだ。聞いてる?”

私を見てくれるのは今しかないの?

”HEY、maple?”

ねぇ、私なんでこんなことを思っているんだろう。
まるで彼にハマったみたいに。こんなことを思うなんて。

”Do you love me?”

私が急に口を開いたので一瞬彼は驚いたが
すぐに笑顔になると
”Of course!!”と応え、首筋にキスをしてきた。
それをスタートだと思った彼は、更に激しく
キスをしてきた。
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