Sweet Hell
築地にある寿司屋は私が想像していたように
老舗の高級料理店だった。

ニスの効いたピカピカの木製カウンターに
それぞれ私、彼の父親、母親、キャサリン、ジャスティンという順で
席に着いた。

ここの寿司屋の価値を分かっていながら入ったのだろうか、
それとも寿司が食べたいからたまたまここにしたのだろうか、
どっちか分からないけど、もしここの寿司の価値を知ってて入ったのなら
相当な金持ちだなと心の中で思った。

それにしてもこの席順はどうみてもおかしいでしょ!
なんで私とジャスティンが一番離れているのよ!

彼の両親が私と話しみたかったというから仕方ないけど
なんで私が真ん中じゃないんだろうと思った。

”メープルさんは、おいくつなんですか?”
父親が尋ねてきたので三十路と応えると
彼の両親はおきまりのセリフで驚きを表した。

”見えないわ!てっきりキャサリンと同じ歳かと思ったわ”と
母親の方が言ってきたので”彼女はいくつですか?”と聞くと
14歳と応えた。

それには私も驚いた。
”No way!!"
そんなに若く見られるなんて驚いたけど
それよりもキャサリンが14歳にしては大人っぽいのに驚いた。
美人だしきっとモテるんだろうなぁと思い、
ふと彼女の方を見たらジャスティンと楽しそうに会話する二人の姿が目に入った。

ジャスティンは彼女のためにネタについたワサビを器用に取り除くと
彼女に食べさせてあげていた。

あまりの仲の良さにまるでイチャイチャする恋人同士にも見えてきた。
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