Sweet Hell
私はゆっくりと彼女の顔を見上げた。

「ねぇ、同期の私には話してよ。それとも私が信用できない?
誰にも言わないからさー言ってよ。本当は彼氏出来たんでしょ?」

そう悲しそうな表情をして訴えかける彼女の目を見て
私は一旦掬い上げたフォークを皿の上に置いた。

「みほのことは信用してるよ。ただ、なんというか・・・
まだ恋人関係ではないというか・・・そうまで至ってないというか」

「でも遊んでる人はいるんだね?」

「まぁね」

「どんな人?何歳くらい?」

そんなことを聞かれて押し黙ってしまった。

「ごめん、とりあえず進展するまでは聞かないで」

「楓!!」

「ごめんって!でもうまくいかなかった時、恥をかくからさ~」と
冗談っぽく照れたように言うと彼女は諦めたのか
「わかったよ!うまく言ったら報告してね!」と笑って応えた。

みほ、ごめん。
でも本当のことを言えなかった。

みほのことを信用してないわけじゃない、でも・・・
アメリカ人のしかも17歳の高校生と遊んでるなんて知って
快く応援してくれる訳がないと分かるから。

引くかもしれない、説教してくるかもしれない。
きっとみほの言うことは正しい。そんなの分かってる。
すべて頭ではわかってるけど、分かってはいるけど
心は身体は・・・彼を求めてるの・・・。

干渉もされたくない、非難もされたくない、
きっと言ったらみほは黙ってないから。
だから、ごめんね。
当分私のことは放っておいてね・・・

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