Sweet Hell
昼休憩が終わり、事務所に戻って自席に着くと
電話が鳴り出したので出た。

電話に出ると相手は本郷さんだった。

「え?どうしたんですか?」

慌てた様子の彼を察知して聞き返すと
営業先に持っていく書類を会社に忘れたと言ってきた。

「えー!まずいじゃないですか!大丈夫ですか!?」

「いや、まずい!15時からなんだけど俺この後課長との食事を予定してるから
一旦会社に戻れなくて・・・」

「わかりました!私がそちらに向かいます。どこに行けば良いですか?」

「浜松町駅で!」

「承知しました!」

私はどんな書類かを彼に確認するとすぐさま彼の机上を探し始めた。

「ないな~」

「何探してるんですか?」
不思議に思った秋葉さんが尋ねてきた。

「本郷さんが営業先に持っていく書類!忘れて行ったんだって」

「あぁ、本郷さんでしたら書類をよく引き出しの中に仕舞ってますよ」

「引き出し~!?」
なんでそんなところに!?変わった人だなぁと思って引き出しを開けると
中にはなぜか水筒が入っていた。

なんで、こんなところに水筒が。
ふつう水筒なんてこんなところに入れないよね・・・。
と思いつつも
「あーそんなことよりも書類!!」と色んな引き出しを漁って
なんとか見つけることが出来た。

私は急いで浜松町駅に向かうと大江戸線の地下道入口の前で
待っている本郷さんを見つけた。
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