Sweet Hell
土曜日出勤の日、ほとんどの人が有給休暇を取って休んでいた。

仕事があまり溜まってない私も特に出る必要はなかったが
家に一人でいたくなかったため、出勤をした。

「はぁ・・・」

一息つくため、私は事務所に出ると1Fにあるカフェでコーヒーを買い、
そのまま外に出てビルの裏にあるベンチに腰掛けた。

「あれ!木下さんじゃないですか!出勤ですか!?」

そう声をかけられてその方を見ると本郷さんがスーツ姿で近づいてきた。

私は立ち上がると「え?本郷さん、今日も営業ですか?」と彼の方に向かって聞いた。

彼は私の目の前に立つと「あぁ、そうなんですよ。休みが変則的なお客さんでしてね」と言った。

すると男の声で「おい!楓じゃねーか!お前こんなところで何やってるんだよ!」と
聞こえたので私は思わず街路樹の方を振り向いた。

男子高校生が二人でいて楓と呼ばれた方は
「今からバスケの試合なんだよ」と言った。

「試合って。涼南高校との試合か?もう時間過ぎてるんじゃないのか!?
お前こんなとこにいていいのかよ」

「まずい。だから今急いでるんだよ」

「だから、寝るのはほどほどにしろっていつも言ってるだろ~」

「あの・・・」

「え!?」

あの高校生に見入ってる私を不思議に思ったのか
本郷さんが声をかけてきた。

「どうしたんですか?急に。高校生なんか見て・・・」

「あ、いやその・・・。なんていうか。
私の名前”楓”っていうから一瞬自分のことかと思って見ちゃったんです。それで」

「あぁあ」
本郷さんは合点がいったのか、そうだったんですね~と納得すると
「楓かぁ。かわいい名前ですね」と言ってほめてきた。

そのセリフに思わず私はどきっとした。

”可愛い名前だね”

ジャスティンにも同じことを言われたのを思い出した。

「あ、ありがとうございます。」

本郷さんはベンチに腰掛けると
「少し話しませんか?」と聞いてきた。

私は返事をすると彼の隣に腰掛けた。
少し離れて
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