Sweet Hell
誰もいない書庫で一人、私は実績探しに明け暮れていた。

すると扉が開く音がして、その方を振り向くと
ゆっくりと近づいてくる本郷さんと目が合った。

彼をシャツの袖を捲し上げながら
「実績探し、大変だと思うので俺も手伝いに来ました」と言って
私に近づいてきた。

私は「あぁ、そうなんですね。えっとじゃぁ、この辺をお願いします」と言って
あまり動揺が出ないように彼に指示をした。
私たち以外誰もいない書庫に二人っきり。
仕事中にまさか急展開があるはずないと思っていても内心緊張していた。

私の心とは裏腹に本郷さんは冷静で
「じゃぁ、この辺を探してみます」と言うと私に背を向け、
段ボールを棚から降ろす作業を始めた。

なぁんだ、私の思い過ごしかと思い安心すると
私も後ろを向いて実績探しを再開した。

すると突然彼が後ろから私を抱きしめてきた。

「え!?」

思わず持っていた書類を落としてしまった。

「あ、あの、本郷さん。書類落としてしまったんで拾いたいんですが・・・」

「そんなの後でいいでしょ」
そう言うと私を彼の方に振り向かせた。

すると本郷さんは急にキスをしてきた。

「待って!やだ!」

私の抵抗で積んであった書類が棚から落ちていく。

「ちょっと!待っ!」

「待てない。ずっとしたかったんだ」
と彼は言うとそのままディープキスをしてきた。

本郷さんってこんなに強引だったの?

何度もキスをされ、服を脱がされそうになり、
私は「やめてー!!」と大声で叫んでその場にしゃがみこんだ。

彼が呆然としながら私を見下ろした。

「さっきから嫌だって言ってるじゃないですか!」

「ごめん。嫌よ嫌よも好きのうちかと思って・・・その」

私は彼の方を見上げ「今は仕事中ですからやめてください!」と
睨みながら言った。

すると彼は反省したように「すいません」と力ない声を出すと
そのまま何事もなかったように実績探しを続行し出した。

私も深呼吸をして心を落ち着かせると落ちた書類を拾い整理し始めた。





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