Sweet Hell
その光景を後ろで見ていた大介さんは
「あのプレゼントってもしかして」と聞いてきた。

「別にいいの。必要じゃなくなったから」

「必要じゃなくなったって、何勝手に決めてんだよ!」

「別にいいじゃない!そんなの私の勝手でしょ!もう行こう!」そう言って
彼の腕をぐいっと掴むと私は彼を無理やり引っ張った。

「何、維持張ってるんだよ」

「別に張ってない」

「何をさっきから怒ってるんだよ」

「怒ってないってば」

「言ってくれなきゃ分からないだろ!!」

「分からなくていい!!」

そうこうしてるうちに私たちはカメリアメゾンの前に到着した。

「あー寒かった」

私が自動ドアを抜け、エントランスホールに入ると
目の前にサンタや小人たち、電車やツリーなど
小さな人形や模型が飾られたディスプレイが置いてあるのを見つけた。

「わぁ、綺麗・・・」

すると私と同じようにそのディスプレイを眺めてるカップルや
子供達、観光客も数人いた。

「なぁ、悪いんだけどさっきの店に忘れ物したみたいだから取ってくる。」

「え!?」

「悪いんだけどチェックインしといてくれないか?」

そう言うと彼はホテルを出てタクシーを拾うと
そのまま出て行ってしまった。

「はぁ、なんなのよ」と私は一言呟くと
受付の方に向かって歩き出した。

するとグラサンをかけた金髪の長身の男性と
金髪でモデルのようにすらっとした美人の外国人カップルが
私の横を通り過ぎた。

私はそのまま受付の方にチェックインの手続きをお願いした。
部屋の案内が必要かどうか聞かれたので、それを断り、
大介さんが帰ってくるまでさっきのディスプレイを眺めることにした。
< 78 / 86 >

この作品をシェア

pagetop