Sweet Hell
”何するんだよ!返せよ”

そう言って彼は彼女からグラサンを取り返そうとするが
彼女はNoと言うと

”そっちの方が格好良いんだからそのままでいてよ”と言って
彼の首に腕をかけ、さっきよりも熱いキスを彼にし始めた。

え?ジャスティン?
なんでここに・・・・。

私の頭はパニックだった。体が凍りついたように
その場から動くことも彼から目を離すことも出来なかった。

彼は彼女のキスを受けながら、流し目で私の方を見てきた。
私の視線に気づいたのか、気づいても気に留めようともしないのか
そのまま目を瞑ると彼も彼女のキスを被せるように
激しいキスを繰り出した。

え、あ、どうしよう。そう思ってると
「楓」と呼ぶ声がして私はその方を振り返った。

「ごめん、お待たせ。チェックイン出来た?」

「え?あーうん。出来た」

「そっか。じゃぁ、BARに行って飲みなおそうか」と言って
彼が奥へ進み始めた。
私も彼の後を追うように歩き始めたけど
思わずあの二人を一瞥した。

二人はキスを終え、女性は私に向かって挑発的に微笑みかけ
ジャスティンの方は真顔で私の方を見ていた。

私は、すぐ前を向くと大介さんの背中を追って早歩きをした。
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