大きな青空の下で君を見つけた
私はベッドから立ち上がろうとしたのに、再びベッドに引き戻されるように、佐伯先生の手が私の肩に伸びてきて、再びベッドへ寝かされた。



「体調も万全じゃないのにまだ寝てないとだめだ。今日は、午前中で終わりなんだから、ここで横になってから家に帰りな。俺も、沙彩ちゃんのこと送っていくから。」



「…いいです。1人で帰れますから。」




「沙彩ちゃん、君が心配なんだ。こういう時は誰かに頼っていいんだよ。家族に頼りづらいなら、俺を頼って。」




そうじゃない。


私が、倒れたことできっとあの人に迷惑をかける。



そしたら、私…




あの人に何されるかわかんない。



しかも、男性といるところを見られるなんて。



子供を産んでも女でいたいと思っている母は、私に男性の影を感じると嫉妬に狂い私に手を出してくる。



だから、この人といる所を見られたら私自身の身も危ない。




「沙彩ちゃん?」




「お願いします。1人で帰らせて。」




「…分かった。そこまで言うなら…。ただし、約束して。今すぐに俺の携帯番号を君に教えるから、俺が見ている所で番号を登録して。それで、何かあったらここにかけて。」




「どうして…そんなことしないといけないの。たとえ先生とはいえ、赤の他人でしょ?」




「…約束できないなら、俺は君を1人で帰らせるわけにいかない。」




きっと、これからは頼ることないと思う。



それに、私は早くここから出たかった。



仕方なしに、私はこの人の番号を登録してから保健室を後にした。
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