大きな青空の下で君を見つけた
ーside理人ー

仕事帰りに、沙彩ちゃんのことに関して詳しく聞きたくて病院へと足が向かっていた。



ちゃんと、自分で確かめないといけない。


でも、いくら俺が沙彩ちゃんの通う高校の教師と言っても、患者のプライバシーには徹底していて、詳しく教えてもらうことができなかった。



半ば諦めかけた時、懐かしい人と再会した。



俺の顔を見るなり、その人は本当に嬉しそうな表情で声をかけてくれた。



思わず、つられて微笑んだ。



でも、沙彩ちゃんは少し気まずいみたいで、車へと向かった。




「奥本先生、もしかしてさっきの子の主治医ですか?」




「そうだよ。伊月沙彩ちゃん。」





「その子、俺の勤めている高校の生徒なんです。」




「高校?もしかして、保健医になったの?」




「保健医と言っても、沙彩ちゃんに何かあった時のために、すぐ近くで対応できるため呼ばれました。」




「そっか。それを聞いて、私も心強いよ。高校では、あの子はいくら体調が悪くても我慢する子だから、倒れてから搬送されることが多くてね。だから、しっかりあの子のことを見守ってくれ。」





「もちろんです。」



「それで、どうしてここに?」



「…いえ。もしかしたら、こうしていることで彼女を傷つけているかもしれません。ゆっくり時間をかけて、彼女と信頼関係を築いていきたいと思います。」


そう。ゆっくり時間をかけて、彼女に寄り添っていこう。



俺から過去を散策したり無理に知ろうとすることが、彼女にとっていいことなんて言えない。



過去を無理矢理知って、そこに彼女から信頼されなてなければ意味がない気がした。



だから、俺は彼女に元気が消えないように、今は体調の面を中心に見ていこう。




「それがいいかもしれないね。」



「それでは、失礼します。」




「佐伯君。」




「はい。」




「あとで、ゆっくり話そう。またここに来なさい。」




「はい。ありがとうございます。」




奥本先生と分かれ、家に帰宅した。
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