始まりと終わり
「それをあの時に聞きたかったなぁ。
俺も楽しかったよ。ありがとな。」
立花さんはやさしく笑った。
「あ、そうだ。
次会ったら渡そうと思ってたんだ。」
立花さんはそういうと鞄から小さな箱を取り出した。
「この間店で見つけたんだ。
結香ちゃんに似合うと思って。」
開けるとそこにはネックレスが入っていた。
「付けてあげる。」
立花さんの顔が近づく。
ドキドキしながら付け終わるのを待っていた。
「よし、できた。」
「…ありがとうございます。」
「うん、よく似合ってる。
……ほんと俺、馬鹿かな?
忘れる、って言ったのに…。」
立花さんはため息をつく。
「立花さんは馬鹿です。」
びっくりしたように立花さんは私を見た。
こんなんじゃ、忘れられる訳がない。
泣きそうだった。