始まりと終わり
「今日はどこ行こうか。結香ちゃん決めていいよ。」
行き先は決まってるんだと思ってた。
「私は…特に行きたい、ってのはないです。
でも、あんまり人がいないところがいいです。」
あくまで今の私は大学3年生だから。
人混みは避けたい。
本当に人混みが苦手なのもあるけど。
「分かった。俺に任せて。」
「どこに行くんですか?」
「秘密。」
立花さんは秘密が多いのかもしれないと思った。
まあ年齢偽装の私の方がよっぽど酷いよね。
「立花さんモテるでしょう?」
「まあ、それなりにはね。」
はにかんだ顔には大人の余裕があった。
「そういう結香ちゃんもモテるでしょ?」
「わたしは、その…全然。
あまり恋とか分からなくて。」
「へぇ…じゃあなんで今日のデート来てくれたの?」
なんで、だろう…?
好き、ではない。
「なんとなく、です。」
「そっか。」
立花さんが何を考えているのか全然分からなかった。