小悪魔執事と恋ゲーム




「なんてね、冗談よ! ごめんねっ。
 ちょっと意地悪だったかしら?」




いつもからかわれてばかりいるから、その仕返しにちょっとだけ意地悪してみた。



けど──。




「冗談でも……次は許さないぞ」




目の前には八乙女の顔があって、大きな手がわたしの頬を包み込む。




「……っ、」




こんなにも心臓が速く動いているのは、きっと。



息づかいも聞こえるほどの距離のせい。



こんな状況で恥ずかしいはずがないのに、それでも八乙女から目が離せなくて……



その小悪魔な瞳に吸い込まれてしまいそうになる。



髪からふわり香るバニラの香りにも、頭がクラクラとして……



今にもほんと、どうにかなってしまいそうなくらい。



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