小悪魔執事と恋ゲーム




「何が?」




“失格”って言われてラッキーだなんて思うのは、きっと八乙女だけじゃないかしら?




「寝坊したおかげでこうして今。 穏花お嬢様を抱きしめられていますし……こんな最高にラッキーなこと他にはないと思いません?」




猫なで声で奥の奥まで囁かれ、みるみる熱くなっていく耳たぶは、今にも甘だるく溶けてしまいそうだった。




「……っっ、」




どうしたら……そんな恥ずかしい台詞が思いつくのよ。



寝坊したことも少しは反省してよね!
もう……っ。




「……バッカじゃないの?」




顔中熟したリンゴのように染まっているのが、バレてしまわないよう八乙女の胸に深く顔を埋めた。




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