小悪魔執事と恋ゲーム
「雨……」
ぽつん、ぽつん、と降り出す夕立。
黒雲に包み込まれた灰色の空。
霧に閉ざされた視界。
それはまるで見えない八乙女のココロみたい。
「何よ……。」
冷雨に打たれ独りぼっち。
髪に流れ落ちた雨の粒が頬に伝って冷たい。
いつもより雨が冷たく感じるのは、ココロが冷え切ってるから?
……こんなの、虚しくなんか
って。
あ、あれ?
雨が突然止んだ?
……いや、違う。
止んでいるのはわたしが居るこの空間だけ。
上から誰かに傘を差されているんだと、すぐに気づいた。