小悪魔執事と恋ゲーム
スプーンですくった豆腐にフーフーと息をかけると、わたしの前に持っていく。
……はいはい。
食べればいいんでしょ、食べれば。
抵抗する元気もないわたしは、大人しく口を開ける。
「あ……美味しい」
豆腐が口の中で、スッと溶けていく。
あんまり歯も動かさなくていいから、これなら何口でも食べられちゃいそうだ。
「これなら食べやすいですし、風邪にも効くと聞いたので、豆腐と大根をおかゆに入れてみました」
なんだか八乙女ってば、お母さんみたい。
いつもわたしが風邪を引いても、召使いは要件を済ましてしまえば部屋から出て行っちゃうし。
一日中この広い部屋で独り、ベットで寝込んでいることが多かった。
だからこうして弱っているときに、誰かがそばに居てくれるのは心が安心する。