小悪魔執事と恋ゲーム




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放課後になって、わたしは大急ぎで外に向かう。



今日一日、頭の中を八乙女に支配されて……
授業にも集中出来なかった。



こんなにも待ち焦がれた放課後は初めてだ。




「やお……」




向こうに車が見えて、叫ぼうとした口を噤む。



だって、車の横から覗かせるのは──



ダーク色の真っ直ぐな髪。

そして雲をつつくような上背。



あれはどう見ても八乙女のシルエットじゃないと。



遠く離れた距離からでも、すぐに分かる。



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