小悪魔執事と恋ゲーム
トレイをキッチンまで運ぶ途中。
「あの……っ、」
注文係りの子に呼び止められた。
「何かお困りかしら?」
それでわたしが聞き返しても、彼女は口をモゴモゴさせるだけ。
どころか、全力で怯えられてる……!?
その震え方は子鹿そのもの──
じゃない!
そんなにわたしって話しづらい雰囲気なのかな……。
“穏花様”と呼ばれるせいか、いつも皆から一目置かれてしまう。
──本当は皆と同じなんだけどな、
わたしも。