小悪魔執事と恋ゲーム
「覚えてないかもしれないけど。
声をかけたのは君からなんだよ」
「え……わたし、から?」
恐れ多いお兄ちゃんに……?
「君がまだ五つの頃、俺は中学生でね。
まだ心も身体も未熟だった俺は、
将来的にもかなりプレッシャーで
毎日追い詰められていた」
ウソ!
お兄ちゃんが悩んでいたなんて……
ちっとも知らなかった。
「パーティーを抜け出しては庭の池を眺めながら、ため息ばかり。 そんな俺に名前も知らない君が、そっと近づいてこう言ったんだ。
『元気だして、お兄ちゃん!』
そう花のような笑顔で、頭に花かんむりを乗せてくれた」
それを聞いて顔を青ざめるわたし。
御曹司に花かんむりをプレゼントするなんて
どれだけ、わたしは身の程知らずな子だったの~……!
あぁ……恐るべし五才のわたし。