一枚から始まったラブレター
差出人はさーくんより。

さーくんより?多分ニックネームだとは思うけど、そんな人クラスにいたっけ。

書いてる内容もただのイタズラだとしか思えなかった。
書いてる字なんか、こどもの落書きみたいに汚いし、まるで本物のこどもが書いてるみたい。

やっぱりただのイタズラかなぁー。
こんなもの、いらない。

私は一度くしゃくしゃに紙を丸めた。


でもやっぱりこんなのダメだ。
何か意味があるのかもしれないし。

そう思い立った私はもう一度、くしゃくしゃになった紙を、手で元に戻していく。



"ぼくは君のこと、わすれたりなんかしないよ

もう一度あいたい

ただそれだけなんだ

そして、君にあやまりたい"


こどもが書いたからなのか、漢字ではなくほとんどがひらがなだった。


何だかこの文章を読むと、自分のことのように悲しくなる。


まるで10年前の彼を忘れられない、私の今の心情みたい。


きっとこの子も今の私と同じ気持ちなのかも。


でも何で家に届いたんだろう?


それが不思議でたまらない。


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