雫と光
高梨くんは冷たい
「Hello everyone~」(みんな~こんにちは)
ドアを開けながら、先生がそう言って教室に入ってくる。
「Good afternoon, Elie」(こんにちはエリー)
私は加西璃咲(カサイ リサ)
19歳、大学2年。
新年度が始まって早1ヶ月が過ぎようとしている。
毎週金曜5限にある必修科目英語エリーの授業。新年度の時間割を見たときはもちろん絶望した。
『花金なのに5限まである?!』
『許せなっ…』
『うわああああああああ!!!!』
週末、しかも5限、しかもただひたすら問題を解くだけの語学の授業なんて、苦痛でしかない。
大学の英語の授業は習熟度別にクラスが分かれていて、一応私は一番上のクラスにいて、担当が外国人講師なのがせめてもの救いだ。
「Risa, hey, have you done your homework?」(リサ、ちょっと、課題はやってきた?)
「あっ」
私は急いでバサバサとテキストを開く。
ちゃんと課題はやってきたんだよエリー!
「I've done!」(やりました!)
エリーはGoodと微笑む。
「Well... Tetsu, write your answers on the board」(じゃあテツ、黒板にあなたの答えを書いて)