君ヲ想ウ~セピア色の恋~
『美味しいよ。なんか、まるで‥‥』


新婚さんみたいだよな、と呟く。


私は、あまりに小さな声で聞こえなかった。

『ごちそう様でした』



行くか、と手を繋ぎ家を出た。


校門が近づくと手を離すけど、今日はぎゅっ、と握ったまま。


「宗くん、みんな見てる」



恥ずかしがってる花の手をぎゅっ、と握った。


誰に見られてもいい。



こいつは、俺のだから。



チラッ、と目線に入った男。



玄関の前で、ニヤリ、と笑う大河がいた。



花は、ニヤリ、と笑う大河に気づかない。


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