君ヲ想ウ~セピア色の恋~
俺の中の誰かが言う。


「それじゃ、あいつと一緒だよ」と。



違う。


別の俺が言う。



「やぁ。怖いよ、宗くん」



怯える花の声で俺は唇を離すと花が怯えた顔で



俺を見ていた。



「花!?大丈夫?…宗くん、あんた何してるの?


花になにしたの?」



花に駆け寄る結衣。



『違う俺じゃない。』



怯えさせたのは‥‥俺じゃない。



花は青冷めた顔で下を向き、震えていた。


結衣が初めて見せた鋭い目付きに‥‥



一瞬、心が震えた。


< 136 / 154 >

この作品をシェア

pagetop