君ヲ想ウ~セピア色の恋~
長い黒髪を綺麗に洗ってゆく。



そして鏡を見た。



花姫様と同じ黒髪。


花姫様の生き写し。


もう、分かっている。



『私が花姫様の生まれ変わりね』


哀しい連鎖。


時代は移りゆくモノだけど変わらないモノもある。



二人の気持ちは変わらなかった。


決して屈さない揺るぎない気持ち。


だけど…………


私は、花姫様ぢゃない。



未来の花姫様かも知れないけど



私には過ごした記憶がないから。


お湯と一緒に流したいこの気持ち…………


私は、瞳を閉じしばらく湯にあたる。



流れた湯に、混じる涙………


わからなくていい。


わからなくていいの…。
< 25 / 154 >

この作品をシェア

pagetop