先生〜ずっと貴方だけ〜
「…なにしてたん?」
背中を向けたまま話しかけてくる西山
こいつ疑ってる?
「遅刻したから呼び出されてた」
「んなら、別に教官室やなくても教室で良かったんちゃうんか?」
「そんなこと言われても知らないよ。矢野先生に聞いて」
西山の後ろ姿は少したくましい。
ジャージを着てモコモコしている西山の腕は分厚い筋肉がさらに太く見えてしまう。
「禁断の恋かおもたわ!!!!!!」
イタズラのように笑って振り向いてきて
また目が細くなる。
「…なんでそう思ったの?」
少し笑いながら聞く私を、西山は歩くスピードを落として歩き始める
「ん〜、なんとなく?矢野先生かっこいいやん?やからお前もコロッと惚れたんかおもてん。
生徒、皆、矢野先生〜!ってうるさいねんもん。羨ましい」
口を尖らしながらニコニコする横顔を私は返事もせずに見ていた。
「んで?下村はコロッとなった?」
眉毛を八の字にする西山。
確かに昔コロッとしちゃったけども…
「かもね」
意地悪な返事にわざとらしくテンションを下げ始めてもっと歩くスピードを遅くする。
そんな西山を抜いて私が前に行くと
「なんや〜、お前もか!」
背中をバシッと叩かれた。
痛くもない、少しヒリヒリするくらいの強さで。
「……ん?あ!!ねぇ、先生!」
「なんやねん!んん?!あ!!」
「「雪!!!」」
2人声を揃えて窓を見た
シンシンと降り始めた雪。
「うわ〜雪だよ!!!雪〜!」
ワクワクしながら外を眺める。
積もるかな〜?積もったら雪合戦したいな。
あ、鎌倉も作りたい!!
みんなで写真撮りたい!
それと後は雪だるま作らきゃ!!
「ねぇ、雪だるま作れるかな?!」
「お前、雪だるまになりーや!」
「えぇ?!なんで?!」
「似合うで!雪だるま!バケツ買って頭に置いたる!」
私の頭を叩きながらくすくすと笑う先生。
私が雪だるまに?
やだよ…
自分で少し想像して見たけど…
確かに少し似合うかも…なんて。