先生〜ずっと貴方だけ〜
本当の想いを
泣いて何分経った?
私はずっとボーッとしてた。
その時
がラッッ
勢いよく開く扉
その先には…
「西山?」
さっきまで私が涙してた理由の人が現れた。
なんで?
「下村!おはよう!」
手には見た事ない、紫色のチューリップを持っていた。
「どうしたの?それ…」
「ん?あぁこれ?探し回って買ってん!
綺麗やろ?」
花瓶に水を入れてチューリップを入れる西山。
「……なぁ、下村?」
近くの椅子に座ってうつむきながら話しかけてくる
なんだかソワソワしてる感じ…
「どうしたの?」
首を傾げて遠くの先生を見た
「真剣な話を今からするから。
聞いてくれるか?」
椅子をズリズリと私に寄せて来て隣に座った
私はコクンっと頷く
「……単刀直入に言わせてな
俺さ、下村が好きやねん」
…え?
私を?先生が…好き?
「え?ちょっ、いいって!冗談なんて!」
私は目をそらして天井を見る
真剣な話ってこれ?!
「冗談なんかやない。去年からずっと好きやった。
でも、先生が生徒を好きになるなんて前代未聞。
俺は自分に嘘をついてきた。
好きじゃないって。
でもな、昨日お前が倒れた時、側におってやりたいって思ってん…
もう自分の気持ちに嘘なんてついとられんって。」
今まで見た事ない真剣な目。
ねぇ、先生も一緒の気持ちだったって事?
「お前が怖くならんように俺が毎日、見舞いに来たるし、
お前がさみしくならんように手をずっと握っといたる。
溶けてしまいそうになったら寄り添ったる」
目から涙が溢れる
どうしたらいい?私は
半年しか生きれない人間なんだよ?
「お前が例え残りわずかな命やとしても
俺がお前と一緒におるし、お前と思い出いっぱい作りたい。
所詮、余命なんて予想や想像や。
んなん無視しとったらええ。
お前は違う。そんなコロッとならん。
そうやろ?」
ニコッと笑う先生に私は抱きつく
「ねぇ、先生?
私ね、ずっと先生と一緒で気持ちに嘘ついてた
好きなんかじゃないって。
でもね、先生が私と同じように他の生徒に頭をポンポンしたりしてるとこ見たら
胸がキュッてなった。
触らないでって思ったの。」
優しく私の頭を撫でる先生の手はやっぱり暖かい。
「…私も先生が好き、大好きです」
涙をそっとぬぐってくれた手が私の頬をそっと包む。
「俺も大好きや」
そう言って、私のおでこにキスを落とす。
「愛菜…」
初めて私の名前を呼ぶから照れる…
「愛菜、あの紫色のチューリップの花言葉はな
永遠の愛。
なぁ、愛菜。
俺と結婚してください」
微笑む先生が愛しくて愛しくて…
「でも、結婚なんてしても私…」
「そんなん分かってる
俺はお前がいい。お前じゃないと嫌や」
私は紫色のチューリップを眺めて
また涙がこぼれた
泣きすぎだね、私。
でも今のは嬉し涙なの
「愛菜、俺と結婚してください」
もう1度、私に愛の告白をしてくれる愛しい人。
「はいっ」
嬉しくてニコッと笑う私をぎゅっと抱きしめる。