先生〜ずっと貴方だけ〜
なにいってんのよ〜
なんて言いながらパンフレットをしまうお母さんの手も、振り向いた後の後ろ姿も
震えてる。
「もうすぐで先生、来てくれるよ」
近くにある椅子に座って
優しい手が私の頭を撫でてくれた。
「こんにちは〜」
勢いよく入ってくる大好きな人。
「先生!」
「お〜!あっ!こんにちは!」
深くお母さんにお辞儀をする先生。
あ、今日先生スーツなんだ。
お母さんと笑いながら話す先生を
ジーーッと見てしまう。
かっこいいなぁ…
「じゃあ今日は私、早く帰らなきゃ行けないので…愛菜を宜しくお願いします」
え、そうだったの?
「任せてください!」
あ、、先生の癖
何か褒められたり、任せて貰えたりすると
胸張るんだよね。
「じゃあね、愛菜」
「うん、気おつけて帰ってね」
静かに閉まるドアを眺める私
「よーっし!愛菜!勉強するか!」
私の前にドリルとかノートを広げ始めて微笑む先生。
「って…言いたいとこやったんだけど…」
広げ始めていたものを1つにまとめて隅に置く。
「どうしたの?」
先生は大きな鞄から少し大きめの髪を出して広げた。
その紙は、私の目の前をぼやけさせた。
「愛菜、ここに名前書いてくれる?」
そう言ってツンツンっと指で婚姻届けを指す先生に、私は抱きついて今出せる精一杯の力でギュウッとした。
本当に、本当にいいのかな?
先生は後悔しないのかな…?
先生を抱きしめた後に浮かぶ嫌な思い。
「俺は後悔なんてせんよ」
まるで私の心の中を呼んでたかのように耳元で囁いてくれる
「俺がお前が良いって思ったんやから。
そう決めたんやから。」
抱き締めていた手を私は解いて先生を見つめて
先生のおでこにキスをした。
「バカ」
泣く私を笑って
馬鹿言うなよ〜ってデコピン。
痛くないよ、先生…。
全然痛くない。
私は婚姻届けに名前を書いてハンコを押した。
ってことは…私、西山になるんだね。
少し恥ずかしいなぁ…
「西山愛菜」
優しい声でそう呟く先生が愛しい