先生〜ずっと貴方だけ〜

愛菜の病室に向かいながら

今日は何話そうかなー?

って考える



「元気かな?」



もうすぐ愛菜の病室




コンコンコン、ガラッ




「よ!愛菜!」




いつものように

笑ってる愛菜


「体調はどうだ?」



俺の質問に返答もしないで

ニッコリと


笑ってる



「なんやねん!俺の顔なんかついてる?」


愛菜に近寄って顔を近づけた



愛菜の左手には


透明の平仮名ボードが握ってある



「んー?なんそれ?」


俺はそれをとって愛菜に聞いた


愛菜はそっと平仮名ボードを自分の手に戻して





《し》を指差した



「え?」


ドキッとした。


嫌な予感がする




愛菜は笑いながら



《し》《ゃ》《べ》《れ》《な》《く》《な》
《っ》《た》《の》




喋れなくなったの



そう打った




目が合う



それでもまだ笑う愛菜は


泣いていた
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