先生〜ずっと貴方だけ〜



13時。


起きてから3時間がたつ。


食事が運ばれて来ても食欲がないから目を他にうつす私。




誰もいない部屋



食器の隅に置いてあるヨーグルトだけを一口。

口に運んだ




最近、体が凄く痛い


誰にも言えない


伝えたい。でも


心配させたくない





こんな痛みが、人間にはあるんだってくらいの痛さだけど
我慢できるなら大丈夫かな?

なんて最初は思ってた。







ガラッ…




「愛菜!」



大きな声で私を呼ぶ声は…

とっても久しぶりな人



小春。



「愛菜〜、元気?久しぶり!」


近くにある椅子を持って来てマフラーをはずす。



「いやー、参った!この前さ西山に事情全部聞かせてもらったよー!

愛菜、大変だね
でもね…これからは西山だけじゃなくて
私もいるよ!私も来れる時はお見舞いに来る!
どうして病気って教えてくれなかったの?」



涙目な小春が私に問いかける。



小春…私、喋れないんだ



下を向いて透明の平仮名ボードを見つめる私。



それに小春が気づいて平仮名ボードを私の手の上に置いた。



「喋れない人なんて、この世に沢山いる!
産まれた時からの人も、ストレスで話せなくなった人も、愛菜みたいに苦しい病気になった人も!!
自分だけが苦しいんじゃないんだよ!
言いたいことは言わないと伝わらないの。」



右目から1粒涙が溢れる小春は
真剣な目をして私にそう言ってくれた。


力強くボードを持って伝える




《き》《ら》《わ》《れ》《た》《く》《な》
《か》《っ》《た》




自然と目から涙がこぼれる


隣からすすり泣きが聞こえて更に私の心が悲しくなった



「ばか。嫌ったりしないよ!」




小春…そんな手で目をゴシゴシしたら
明日、目腫れるよ?



そんなに泣かないでよ


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