車窓から見えるもの
前編
気付いたら、私は電車の中だった
腕時計を見ると、21時25分。
この時間まで眠っていたようだ。
今日も毎日の仕事の疲れで、一日の自分の行動を覚えていない。
人間は本当に疲れきると、過去や現在の記憶がミックスジュースのようになるものだ
車窓から見える景色は、夜の9時なもんだから、はっきりとは見えない。
はるか向こうにそびえる山々のほうがはっきり見えたりする。
幼少期から、電車に乗れば景色ばかり眺めていた。
景色を眺めながら、古い建物などがあれば、住人を勝手に想像していた