【短編】あわよくば、君と。
◇ side Girl
一ヶ月に一度行われる、席替え。
それは私にとって結構な重要イベントなのだ。
授業中のペアなんて言わずもがな、隣の席ってだけで日直は当たり前のようにペアにさせられる。
とりあえず何かと一緒になることが多い隣の席。
それに加え私にとって大切なのは、隣が授業中に話せる相手かどうかってこと。
人と喋ってるか、余程集中してないと授業ほとんど寝ちゃうんだよね。
だから私が寝ないようにしてくれる相手が必要なわけです。
それはガリ勉くんでも、無口な奴でも、自分だけがひたすらしゃべり続けるやつでも困る。
意外と条件厳しい。
よく、わざと寝てるんじゃないかって疑われるんだけど本当に自分でも気付かないうちに眠り込んでいるんだから人間って不思議だよね。
で、今現在隣の席に座っているのがこの男、岩野 宏太(いわの こうた)。
この席になって今日で一ヶ月が経つから、もうこの席はこの授業で最後なんだ。
クラスでもあまり喋る方じゃないこの男が隣になったときはどうなることかと思ったけど、意外にもあの条件を満たすうちの一人だった。
毒舌発言を多々ふってくるムカつくやつには違いないけど。
そのおかげで起きていられるのも事実なもんだから、なんとなくシャクに障る。
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