【短編】あわよくば、君と。
◆ side Boy


『今日、席替えだよ』


いつものようにノートの切れ端を使って話しかけて来たのは、隣の席の飯田 朱里(いいだ あかり)。


人望があって、クラスの中心にいるようなやつだから当然のように目立つ。

俺の周りでも結構狙ってるやつが多い。

だから隣の席になる前からこいつのことは知っていた。


こんなやつ一生関わらない人種だと思ってたのに、意外と話が合うんだから不思議なもんだ。


俺の知ってる誰よりもこいつは幸せそうに笑う。

その笑顔を俺のものにしたい、なんて思い始めたのもここ数週間でのこと。


『あー、俺と離れるの寂しい?』


いつものように冗談交じりの言葉。

飯田が寂しいって言うなんてありえないと思いつつも若干の期待を寄せてみる。


『はー?あんたなにいってんの』


やっぱ無理があるか。
少しくらい、寂しいって言えよ。


『わざわざ強がんなって、素直になれば?』


『誰が強がってんのよ
むしろ授業に集中できて清々するんだから』


相変わらずの、この言われよう。

ムカついて速攻で返す返信。

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