【短編】あわよくば、君と。


『よく言うよな
毎時間楽し気に話しかけてくるくせに』


俺とだから、話がしたかったってそんな都合のいいこと飯田が言うわけないよな。

なんとなく虚しくなる。


『暇だから話しかけあげてるだけです〜
っていうか今までの私への感謝の言葉とかないわけ?』


『食いもん食ってる時の顔やべえよな、お前』


お前の弁当食ってるときの幸せそうな顔、毎日見てた。隣なんだから知ってる、本当に美味そうに食べるよな。


お前に感謝なんて言うわけねーだろ。
そんな別れる前の挨拶みたいなこと。

俺はこれからもお前と話したいし側にいたい。

だから絶対、感謝なんかしてやらねーよ。


『あんた私にぶっ飛ばされたいの?』


ほんと、平気でぶっ飛ばそうとしてくるんだよなこの女は。
笑いながら叩かれたのだって一度や二度じゃない。

地味に痛いけど、そんなの言ったらダサいから絶対言わねー。

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