【短編】あわよくば、君と。
「ばーか、さっき言ったろ」
あまり俺を安く見られちゃ困るな。
「やだ、はっきり言って?」
こいつ、確信犯だと毒づきつつも、今まで見せたことのなかったそのかわいさといったら半端なもんじゃない。
もっと知りたい。
そばにいたい。
抱きしめたい。
キスしてぇ。
これから先、ずっと。
____あわよくば、君と。
いや、ちょっと違うな。
「好きだよ、お前のこと」
腕を引いて抱きしめると、いつもの飯田からは想像もつかないほどに甘い砂糖菓子みたいな香りがする。
甘く誘惑されて溶けていく。
もう、『あわよくば』なんて思えねーよ。