【短編】あわよくば、君と。



『よく言うよな
毎時間楽し気に話しかけてくるくせに』


それは、事実かもしれないけど……だって実際話すの楽しいし。

でもだからって素直になるのは別問題。
言ったら絶対、からかわれるもん。


『暇だから話しかけあげてるだけですよー。
っていうか今までの私への感謝の言葉とかないわけ?』


だから口を開けばいつだってお互いに憎まれ口ばかり。
過去のメモだって見返してみればきっと大半が冗談交じりのものなんだろうな。


岩野も、素直な子の方が良かったりするのかな?なんてちょっと、ほんのちょっと考えたこともある。


『食いもん食ってる時の顔やべえよな、お前』


『あんた私にぶっ飛ばされたいの?』


こいつ、私が後悔してるって時に。

最後の最後まで憎まれ口か。

もっと他にないわけ?


実はかわいいと思ってた、とかまたお前の隣の席になりたいとか、そんな甘い言葉は期待しないから。

せめて最後くらい、『お前の隣で楽しかった』の一言くらい言ってくれたっていいじゃん。

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