【短編】あわよくば、君と。
『ばーか、好きだよ』
は??
突然のことに身体がフリーズしてペンがすり抜け床に落ちた。
ぶっ飛ばされたいの?の返信がどうしてそうなるのよ。
おかしい、変だ。そう思っているのは確かなのに……
やばい。
勝手に顔、赤くなるな。
そんなことしたら岩野の思うツボじゃん。
こんなの、動揺してますって言っているようなもんじゃん。
何度見ても記されている好き、の文字。
いつもいつだって勝手に私の心をくすぐるんだ。
どうせ冗談でしょ?そうわかってるのに、また反応してる私がいる。
どこかで期待してるんだ。
『またお得意の冗談ですか』
必死で綴る文字。
いつもより震えた。『す』の文字なんて特にいびつだ。
冗談には冗談を返さないといけないのに。
『キュンときた?』
キュンときたわ、ばーか!
やっぱり冗談じゃん、期待なんてすればするだけ落胆する。
冗談でこんなこと言わないでよ。
勘違い、するじゃん。
人の気も知らないで、私の気持ち揺らせやがって。