【短編】あわよくば、君と。
____キーンコーンカーンコーン
チャイムがなって、10分休みに入る。
教室中が騒がしくなる。
遠ざかる岩野に聞きたいことがあるのに、身体が上手く動かない。
いつものようにちょっと薄くて縦長の文字。もう見慣れた、あいつの文字。
紙は丁寧どころじゃなくて、乱雑に切られてある。
ねえ、またいつもの冗談なの?
これもまた冗談だったらあんたどんだけ性格悪いのよ。
そんなこと言われたら今度の今度こそ私、期待するよ?
確かに冷凍食品使わないって言ったことあるけど、
ダイエット中とか言いながら買い食いしてるけど、
努力なんて特別してるわけじゃない。
でも……
確かに私の手の中にある、無雑作にちぎられた紙切れには
____もっとお前のこと知りたいって言ってんだけど、わかんねーの?
それは絶対私宛てで、それだけは間違えるはずがない。