ひなたぼっこ~先生の、隣~【完結編】
「…何かあったんですか?」
妹尾は抵抗することなく、腕の中に収まっている。
「いや…何もないけどさ。最近、まともに会話してないなぁって思って」
密着した身体から、妹尾の心臓の音が伝わってくる。
「そう…ですね」
ドキドキと、脈を打つのが速いのがわかる。
「妹尾先生は毎日忙しそうだしね。俺の存在を忘れられてるんじゃないかと思うほど」
「え!?高橋先生こそ、誰よりも忙しく走り回ってるじゃないですか。声を掛けようにも、なかなか捕まらないし…」
「あー…まぁ、最近はちょっとバタバタしてたかもな」
期末テストと生徒指導に追われてたよな…
「教師になって改めて、大変さがわかりましたよ」
そう、妹尾が言った。
抱き締めてるから、表情が見えない。
どういう顔をして言ったのかー…
「…後悔してるか?教師になったこと」
何年経っても、俺には負い目がある。
生徒である妹尾と付き合ってしまったこと。
高校生で未来を選択する重要な時期に、妹尾に悪い影響を与えてしまったんじゃないかとー…