幼馴染はどこまでも俺様過保護
蒼海にパジャマを着せ水を出そうと冷蔵庫を開ける。
「……これは…」
冷蔵庫から水を取り出し、水を自分で飲まない蒼海に口移しで水を飲ませた。
蒼海に何が起こってる…
「…ぅっさっみぃ」
汚れたシャツとズボンをざっと洗い、俺はパンツひとつで蒼海のベットへ潜り込んだ。
蒼海が小さい頃、こうやって俺のベットで寝た事があったな…
学校帰り蒼海の通う幼稚園の前を通ると泣いて帰らないと駄々をこねる蒼海にお手伝いのキクさんが困っていた。
「蒼海、どうした?帰らないのか?」
「ママが…蒼海のママが来ないの…蒼海がお利口にしてたらママがお迎えに来るって先生が言ったのに…ママ来ないの…」
そうだよな?…俺だってお母さんが居亡くて寂しく思う事有るのに、こんなに小さな蒼海が寂しく無いわけ無いよな…
「じゃ、今日は俺と帰ろう?俺の家でオヤツ食べよう」
蒼海はうんと言って俺の手を握った。
蒼海のお父さんは外務省に勤めていて、海外出張へ行く事が多かった、お父さんの代わりに住み込みのキクさんが蒼海の面倒を見てくれていたんだが、それからはよく俺の家に泊まりに来るようになった。
蒼海は小学校に入ると、自分の母親は死んで居亡い事を受け入れていた。それでも友達の家に遊びに行くと、子を思う母の優しさを目の当たりにして、いつも泣いて帰って来ていた。
「泣いてると、天国のお母さんが悲しむぞ?今日は蒼海の好きなプチモアのフルーツケーキがあるけど?」
「もう泣かない!ケーキ食べる!」と満面な笑顔を見せた。
「何だよもう笑って!現金な奴だな?アハハハ」
そして家まで競争だとふたりで走って帰った。