幼馴染はどこまでも俺様過保護

荷物を冷蔵庫や置くべき場所にしまい、久々に見る充実した冷蔵庫。

パンとハムと卵を焼いて隼翔に出すと、隼翔は腹減って死ぬとこだったと言って直ぐに食べはじめた。

隼翔にはコーヒーを淹れ、私は紅茶。久し振りに飲んだ紅茶は気持ちも落ち着かせてくれる。

茶葉が無くなって一週間ぶりかな?私はやっぱりコーヒーより紅茶が良いなぁ。ああ…ホッとするわぁ。

「蒼海、何か困ってるんじゃないか?」

隼翔は食事を終わらせ2杯目のコーヒーに口を付けて聞く。

「お金の事はごめんね?ちょっと今月無駄遣いしすぎてさ!でも大丈夫、次のお給料日にはちゃんと返すからね?」

「金の事は良いって言ったろ?そうじゃなくて」

「あっ昼は何食べたい?あれだけあれば一通りの物作れるよ?」

「蒼海!」

「隼翔の好きな物作るよ?お世話になったもんね?春巻き?ロールキャベツ?あっコロッケが良い?」

「蒼海!!ちゃんと話を聞け!なにか困ってることくらい俺にだって分かる!冷蔵庫の中には飲みかけのミネラルウォーターが1本あっただけで、調味料も殆ど無いし、米だって空だったじゃないか!?お前、最近飯食ってないのか?」

「食べてるよ…たまたまだよ」

「いつも自炊してる奴が冷蔵庫に飲物が1本だけっておかしいだろ!?」

「さ、最近、作るの面倒で外食してたから…」

「嘘つけ!蒼海は外食が嫌いなくらい知ってる!?会社にも弁当作って持って来てたのに、最近は弁当持って来てるとこ見ないし、お前また痩せただろ?何があった?」

「…何も無い…私は大丈夫だから…」

「俺には話せないか?」

「………」

「そうか!?ならいい!御馳走さん!」

「隼翔、お昼ご飯は?」

隼翔は私の問いかけに応えず怒ってそのまま帰ってしまった。

隼翔…

ごめん…心配してくれるのは有り難いけど…隼翔には話せない。

隼翔に話せばきっと助けてくれる。でも、これだけは話せないよ…

隼翔だけじゃなくて、桜小路家に迷惑が掛かるから…





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