幼馴染はどこまでも俺様過保護
「城之内さん、鶴越デパートの展示会の事で副社長に確認して頂きたい事があるんですけど?」
営業の山下さんが難しい顔をしてやって来た。彼はデパートで模様される展示会の担当で、今は再来月行われる鶴越デパートの展示会の準備をしている。
「どうしました?」
「実は目玉にする予定のブルーサファイヤのリングなんですけど、先方の担当者に変えれないかと言われまして…」
「え?変えるって…石をって事?」
「いえ、今話題のmiu.la.umiって人の作品を用意出来ないかと言われて」
え?また…
「それは…無理じゃないかしら」
「ええ、僕もそれはちょっと無理だとお断りしたんです。何処の誰だか分からないし、いくら今話題のアクセサリーと言っても、あちらのは偽物ですからね?うちが扱うような物ではありませんから」
「そっそうよ!うちが扱う様な物じゃないわ!山下さんの言う通りよ!」
「でも、そこを何とかして欲しいと言われて、取り敢えず副社長に連絡を取って貰えますか?」
インドとの時差は3時間30分。腕時計を見て時間を確認する。
向こうはちょうどお昼になった頃か…
「今なら電話繋がると思うから山下さん連絡してみて?」
「えっ?僕がですか!?」と山下さんは驚きの声を上げた。
そうだよね…驚くよね?…
いつも隼翔への連絡は私経由でしていた。特に海外に居るときは、私の語学力を上げるために隼翔がそうしろと皆んなに言って居たのだ。
「ごめんね?今ちょっと手が離せなくて…メールでも良かったら後からしとくけど?」
山下さんは腑に落ちない様子で居たが、分かりましたと隼翔に電話を掛けはじめた。
山下さんごめんなさい…
私は席を立ち社長室である常務の元へ向かった。